川井美奈WS : richi

川井美奈さんがYCAMにいらっしゃいました。
今回は16日のワークショップを行うため、前日からどのようなワークをするかあれこれ、打ち合わせました。前半はジャイロキネシスの応用によるワークで、後半はオリジナルの床を技のワークをお願いしました。オリジナルの床技につきましては、いわゆるシアターでの正面を意識したダンスではなく、回転を多く取り入れ、方角が分からないダンスワークをお願いしました。これは、ダンス自体が床と身体との重力の関係で出来ているので「落下」をどう楽しむかといったワークと、そのための様々なテクニックです。
前半のジャイロキネシスの応用によるワークは、私は初めて受けたのですが、背骨の動きを重視し、背骨をうねらせる動きを基礎とし、背骨から背筋、肩、腕へのびといった連結を意識したエクササイズです。印象は「尺取り虫」といった所です。また、主に出てくるのが、尾てい骨からのびる特に肩までの背骨を思いっきり延ばすのも特徴で、背骨下から3つ目までと肩甲骨付近の背骨は、普段意識していない分、念入りに延ばていると思います。それからジャイロキネシス流のヨガをこなし、最後は腹筋のトレーニングでした。

後半の床技は、身体の重心と床との関係でできており、基本的には身体の部分の拡散と集結をバラバラに動いかしながら、繰り返し、かつパタンは変化します。動きの中心は背骨にあり、腕は一般的な、モノをつかんだりといった働きではなく、足と同じように状態を支えるために機能をします。動き初めは、指から地面に順番に付け、柔道の受け身のような形で転がっていくのも、足としての手として考えられます。手や腕は立って動く場合でも、手としては使わず、一本の腕として、長く折れ曲がる棒としか意識されないのが特徴です。手が無いダンスですから、いわゆるマイムといった感情の表現はそぎ落ち、抽象性が高まり、動きだけが残されるようなダンスが繰り広げられました。実際のワークは、床での回転が多いせいか、平面聴力の弱い方は次々と具合が悪くなり、ちょっとかわいそうでしたし、彼らに気を使った川井先生は、レベルを極端に落としたワークとスタンディングワークが多くなり、私としては少し物足りない感想です。
文 : 大脇理智

カテゴリーBlog