ダンスを形づくる振り付けは、ダンステクニックのパタンであったり、心象風景の投影であったりと様々ですが、これらは身体の内側から決定付け、意識において身体の動きをコントロールしダンスの表現とします。これは、楽器の演奏と比べれば分かりやすいと思います。楽器の演奏は身体と楽器との関係で、演奏において身体の動きは「道具を使う」以外の動きはありません。ダンスの場合、楽器のようなモノによって動きを限定されませんから、ルールを何処かで決めて、そのルールとの関係が動きとしてみえます。このルールはいつも物理的な身体に直接影響をあたえるとは限りません。逆に、意識の中でのやり取りのため、曖昧なままでも動きを組み立てる事ができます。
ダンスとは精神的なルール設定にたよって動くため、端から見たとき、一見、必然性が分かりづらく、大半のダンスは動きの必然性を証明する事は難しいでしょう。
ただし、誤解してはならないのは、物理的な制限だけで動きを構築しますと、体操になってしまう点は指摘する必要があります。
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文)大脇理智